ふと冷静に考えると、それくらい俺は生きる意味を見失っているということか。


ほんの一瞬自嘲気味に口元を歪めた俺は、誰もいない外の景色をぼうっと見下ろした虚ろな瞳に不意に黒い影を落とし、憔悴したように定まらない視線をうろうろと宙にさ迷わせた。


……でも。


最近の俺はそんな刃を突き立てる行為すら生ぬるく感じてしまう時がある。


煙草の吸い殻を手にして振り返りとんと背中を窓枠に預けると、ゆっくりと葵さんが使っていたたんすに視線を向けた。


まだ他の子供達に合わないサイズばかりの中身は、誰にも触れられずずっとあの日のままだ。


その奥に隠されたままの葵さんのアレを、俺はいつから気にし始めたんだろう。


それがしだいに俺の満たされない心を強く甘く誘惑してきて、もう無視することのできない大きな存在になっている。


だけど今以上の狂気で自分が一体どうなってしまうのかという僅かな恐怖心が、なんとか破滅への加速を止まらせていた。