そう呟いてまだ半袖Tシャツの袖口から長々とはみ出す白い包帯を見つめる。


葵さんの自殺後一年以上も経ち、すでに切らなくても消えやしない傷跡なのに、今も変わらず刻み続けている左腕の刻印。


この包帯の中には赤黒く盛り上がった乾くことのない一本の生傷が、細い蛇のように長くうねっている。


もう数え切れないほど痛めつけてきたせいで、腕全体が痺れるように重く痛み皮膚は固く引きつって感覚も鈍い。


それでも徐々に深くカッターの刃先を血肉に食い込ませる日々。


最初はいろんな想いから消したくなかったはずなのに、今では切ることだけに執着する自分が存在している。


それは、血を流す一時だけが唯一。


凍り付いた心臓がぶるぶるっと痙攣してどくんどくんと強く拍動し始め、自分の温かい生を実感することのできる瞬間になってしまったから。


年月をかけてずいぶんと太く醜くなってしまったけど、今の俺はこの痛々しい刻印のお陰で生きていられるようなものだ。