ふと煙が気になった俺は煙草をくわえて窓際に立った。


もうすぐ夕方になるけどまだ青いままの空をぼんやりと見上げて、今度は白く濁ったため息をつく。


今俺が通っている高校は葵さんと同じ所で、名前を書けば誰でも入学できるような最低ラインの学校。


新聞配達のバイト代の一部を学費に回されているせいで金もないから、制服と肩掛けかばんは葵さんのを譲り受けた。


もともと成績は葵さんが死んだあとも悪くなかったのに、中三になってすぐからまるで溜め込んだ物を吐き出すように精神的に不安定になっていった。


その時から漢字や数式を無理矢理頭に詰め込むことをやめ、代わりに臭い煙草と苦い酒を欲するようになる。


それからの成績がどうなるかなんて、簡単に想像できることだろう。


しかも部屋に一人きりで誰にも気付かれない状況が、そんな俺の不安定さに拍車をかけていった。