なんのリアクションもしない俺が面白くないのか、チッと舌打ちをする中村。


「んだよっ。浅野のくせに」


そう呟いた中村を置いて、俺は無言のまま目の前まで迫ってきていた雑貨屋にずかずかと入り、造花数本をわし掴みにしてすぐに店を出た。


そしてポカンとしている中村に思いっ切りそれを投げ付けてやる。


「うわっ、いてぇ!なにすんだよ!?」


アスファルトに散らばる造花を中村があたふたと拾い上げる様子も見ずに踵を返した俺は、また学園に向かって歩き始めた。




「あ、圭介くんお帰り」


学園に着いて数人の子供達が遊ぶ食堂を抜けようとした時、後ろから声をかけられて、今通り過ぎたばかりの指導員室の方を振り返る。


そこにはちょうどドアを開けた桜井さんが笑顔で立っていた。