もう一度だけ、携帯を取り出して彼専用の短縮ボタンを押して電話をかける。
プルル…。プルル…。
ブッ…。
「……切られちゃった…」
ポツリと言った言葉なのに、声が大きかったのかな? 騒いでいた2人が私の方を見てる。
怖い。何が怖いかわからない。
でも、それが何か何度なくわかるような気がして、それまた怖い。
だから、気付かないふりをするの。
それが、最善の方法とは思わないけど、今は知らん顔…。
今だけ。
「…カナコ…。もぉ! そんな顔してたら、明日のコミケに影響しちゃうわよ?」
ペチンと真ん中分けした私の額にナナが軽く叩いた。
「シノブ君には頭冷やす時間を与えたほうがいいわよ? …もちろん、カナコの方もね」
「…わた、しも?」