とりあえず、用がなくなった携帯を閉じてカナコを見ると少し頬を膨らましてボクを睨む。


「親を心配させたらダメだって言ったでしょ?」


よく無断外泊をするらしいカナコだが、行き先は大抵女の子の家だからなのか、彼女の両親は何も言わない。

ここらでは有名お嬢様学校へ通ってたカナコ。

お嬢様学校へ通ってたカナコの行動にはどこか普通の子…の用な事だと思う。…やっぱり、お嬢様学校に通ってたと言っても人それぞれなんだとスンナリと受け入れる。



「……シノブ君のバカ!」

「カナコの方がバカだよ。親を心配させるなって言ったよねボクは? ってか、どうして友達の家に無断外泊したの?」

カナコは僕に秘密がある。

…これは僕がカナコと付き合いだしてスグに気付いた事。
特に驚いたのは付き合いだしたあたりの初夏に突然、連絡が取れなくなった。

あの時は、カナコの両親に会ってない時だったのと彼女の携帯でしか連絡を取ってなかったのだ。
携帯へ何度も電話しても留守電に変わるだけ。

メールを送っても、返事は全然返ってこない。

さすがに僕も不安になって、マイナスな事しか頭をよぎらなかった。