食べ終えた弁当のカラを捨てて、お茶を飲みつつも外回りへいつでも行けれるようにスーツの上着を羽織っている時に携帯の着うたがなった。



ビックリした。…だって、この着うたってカナコ専用だから…。

「も、もしもし?」


『あ、シノブ君? 私、カナコだよ。どうしたの? 今、仕事中でしょ?』

電話越しに聞こえるカナコの声に、僕は体中が何かに満たされて行くように思った。


「うん。今から外回り。カナコは今、何してるの?」


『私? 私はね~…、友達と一緒に遊びに行ってるよ!』


「へぇ~…。いいね。僕もお盆明けの休みにどっか行こうかな…」



何気なく言った一言だったけど、なぜかカナコの返答がない。



「カナコ?」