「弁当…って、木庄さん弁当、親に作ってもらってるの?」


「…ぅうん…。私、一人暮らしだから、お金浮かすために…」

「へぇ。偉いね。僕も彼女にも爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいよ」



僕の言葉に木庄さんの両頬はポと赤くなっていたが、今や青ざめている。…なぜ?


「え…坂上君、彼女、いたの?」
「う、ん?」


木庄さんの様子がおかしい事に気を取られていた僕は、この状況がいまいち理解が出来てなかった。

女の子の暗い顔は、どうにもこうにも苦手だ…。



「か、彼女がいるのに…合コンに行くの?」
「タケルにどうしても出ろって言われててさ」
「そ、うなんだ」



呟いた木庄さんは、机の引き出しに入れていたんだろう弁当を持つとそのまま、仕事場から出て行った。