冗談じゃない! 僕はカナコって言う彼女がいるんだって! 喚きたいのをグッと堪えて、大人しく説明した。

もちろんすぐには理解してくれなかったから、カナコとのツーショットの写メを見せて何とか納得してくれた。


…しかし、その時のカナコの服装が学生の時のだったから分かりやすかったけど、逆に援交をしてるような目で見られてしまったのは言うまでもない。


「来週、分かってるよな~」
「分かってる、さっさと営業の仕事に行ってこい」
「ひ、ひどいシノブ君!」


これもいつもの事。いつまでも張り付いているタケルを仕事へと送り出した僕は、見積もりを立てる仕事を再開する。


だが、それも数分で集中力が切れて机に置いたままの携帯が気になる。カナコのまた携帯に出ない日が続く。

その時の僕は、彼女の秘密を知りたい反面、知る事が怖かったのかもしれない…。



だって、対した事がないにしても「私を信用してなかったのね」なんて言われたら、やっぱり嫌だ。もし、僕が知ってはいけない事を知ってしまったら…カナコがどんな反応を見せるのか…。