答えはすでに決まってる。
「…シノブ君は、私がイケない事するときちんと怒ってくれるよね。私、それが凄く嬉しかったの。パパとママはどちらかというと放任主義者だったから…ぁ、別に愛情に飢えてるとかじゃないよ? ただ、構ってくれるシノブ君が嬉しくて。でも、構ってばかりって訳じゃなくて、私にはちょうどいい距離感なの。だから、私もずっとシノブ君と一緒にいられたら…凄く、凄く素敵だと思える…」
鈍く光る左手の薬指…。何度も何度も見ては、ニヤけているのをシノブ君に見られたくなくて…。
顔を俯かせたまま、喋る私をシノブ君はやっぱり、呆れる事なく聞いてくれた。
「………それって…OKって事?」
コクン…。
今日は凄くハッピーな事が起きるよ…。
優しく抱きしめてくれるシノブ君に私も身を安心して預けられる。
「じゃ、膳は急げだ。これからカナコの家に帰ろうよ。結婚報告しよう。…ぁ、もちろん、カナコは学校、卒業しろよ?」
「……ぅん…。わかってる…」
シノブ君の腕の中で、少し唸りながら返事をした。
…だって、そこで現実を突きつけなくてもさぁ…。まぁ、そこがシノブ君のいい所なんだけどね…。