「あはは、ははは! ダイスケ君…本当に、シノブ君に少しだけ似てるよね?」
「……俺、よくそれ親戚から言われてて、少し…いや、無茶苦茶イヤだったんだ。…でも、カナコに言われると少し違う感じがする…」
「…そう、か。ごめんね? でも、ダイスケ君はダイスケ君でいつもと同じように振舞えばいいよ? 無理してシノブ君と同じ事したって面白くないでしょ?」
あちゃー…。ダイスケ君には必要のない事まで言ってないかな? 私って…。
でも、喋りだすと止まらないのが私の口だもん。
「…そ、っか…。そうだな。うん、頑張れる気がしてきた。サンキュー、カナコ」
そう言って、ダイスケ君は私にスッと手を差し出して握手を求めてきた。
つられるようにその手に自分のと重ねると、ダイスケ君はニッコリと笑ってブンブンと私の肩が外れるんじゃないかって言うぐらい振る。
「じゃ、俺。帰るわ!」
ヒラヒラと手を振りながら、一度も私を見る事なく改札口をくぐって去っていった。
その後姿はシノブ君とは違って、進路に迷っているただの少年らしく見えた。頼りなくて、もしかしたら…ちょっとつついたら、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ…。不安定な少年って感じ。
ダイスケ君の将来がちょっと不安だな。