「カ、カナコ…」


「ぁ…! 誤解しないでシノブ君。私、別にこのチューには引いたとかじゃなくって…むしろ、萌えてるの!」

頬をピンクにさせながら、どちらかと言うと興奮気味に喋るカナコに僕は少し、引き気味になる。

こんなカナコを今まで見た事がない…。
「カナコ…?」

「ごめんなさい!! シノブ君…この写メ、友達に見せたら…喜んでくれてさ…」

「……は?」

突然言われたカナコの言葉に、僕は目を何度もパチパチと瞬きを繰り返しながら彼女を見る。


「あのね、友達がこう言うボーイズ系が好きで、見せたらテンション高くなって、原稿が進んじゃったらしくて…。み、見せびらかすつもりはなかったのよ!! 本当に!」


言い訳を言うカナコだけど、僕にとっては死活問題だ。
ため息を吐いて、カナコの頭を軽く叩く。

……見せてしまった事は仕方ない。文句を言ってもそれが元に戻る事なんてないんだから…潔く諦めるしかない…。




そう…諦めるしか……ないのかなァ…?