けど、私は恐怖で彼の顔を見る事が出来ずに、俯いたまま…頭を下げてその場を立ち去った。


この声もシノブ君に似ているから…何だか恐怖を感じる。

何だかダイスケさんをシノブ君に見立てて、飲み込まれていきそう…。

周りの視線を感じながらも、キッチンへ飛び込み、奥の控え室へ入るなり私は自分のロッカーから携帯を取り出してかける所はただ一つ。


『――…ただいま、電話に出る事が出来ません…』


そんな、留守電の声なんか聞きたくないのよ!! 留守電サービスの声を聞きながら私はイラだちはじめる感情をどうにか押さえ込み、メッセージを入れる言葉を頭の中で巡らせる。