「ぁ…さっきの事、誤ろうかと思って追いかけたんだけど…お前がここに入っていくのが見えて、見間違えじゃなかったんじゃないのかって思って周りをちょっとウロウロしてたんだけどお前がどこの店にも入った形跡がなくて唯一、ここだけだったから。…まさかなって思って、コーヒーだけ飲んで帰ろうかと思ったんだけど…」


「そ、そう…。じゃ、ご注文はコーヒーでいいですね」

彼の言葉からコーヒーと言う言葉で、私は我に帰って仕事を再開しようとオーダー表に『コーヒー』と書こうとした瞬間…。


「俺が言ってるのは、そうじゃなくてッ!!」
「ぇ…きゃぁ!!」


手首を捕まれたかと思ったら、引き寄せられそうになったけど反動で私は床に膝をついて倒れた。

…だってしょうがないじゃない! ダイスケさんとの距離はあったし、厚底の靴を履いてたからコケルに決まってるじゃない!!

膝に痛みを覚えながら、私はダイスケさんの顔を見る事が出来ずにいた。

周りは何があったんだって視線を感じる…。
やばい…背中に、体中に感じる視線から逃れたい…。


「…悪い…」


そう言って、ダイスケさんは私を立ち上がらせてくれた。