聞き覚えのある声に驚いて、辺りを見回すと…ダイスケさんが駅の改札の向こう側で手を振っていた。
私は、躊躇しながらも改札を出ていく。
「なぁ。カナコ!」
「……どうして、ここにいるの!?」
すでに恐怖に近い気持ちで、彼が私に近づくと近づいた距離だけ逃げる。
これからバイトに行こうとしてるのに、何でここにいる事が分かったのよ!!
「シノブの携帯からカナコの情報、ゲットしたんだよ」
じゃ~んと言って、取り出した携帯は私のパパと同型で色違いのものを持っていた。
カチンと頭にきた理由は、パパと同じ携帯というものではなくって、勝手にシノブ君の携帯をいじったと言う事で…、私の怒りはのぼっていく。
「カナコのバイト先って、近くなんだ。場所までは知らなくてさ。ここで、カナコが来るの待ってたんだ」
ニコニコと笑うダイスケさんの顔を見た瞬間、胸がキュンって締め付けられて私は慌てた。
「……っ最低! 勝手に、人の携帯を見る人の気が知れないわ! 金輪際、私の側に近寄らないで!!」