目の前にいると、自分が劣っている事がまざまざと見せ付けられて、落ち込むと言う悪循環を巡る事になる。
「カナコって、可愛いよな? さっきまで怒ってたのに、次の瞬間になったら俺を見たらシノブの陰に隠れるんだぞ? 可愛いよな」
込み上げてくる苛立ちを抑えるために、僕は拳を作って自分の身体を傷つけるだけだった。
「なぁ、シノブ。カナコ、俺がもらってもいい?」
「…………ダイスケ…いい加減にしろよ? 僕も怒るぞ…」
「…何だよ。そんなに怒らなくったって……」
そうとう怒りを露にしていたのか、ダイスケは少しだけ顔を引きつらせて両手を挙げて降参ポーズを僕に見せた。
「…でも、本気でカナコとどこで出逢ったんだよ?」
「お前には言いたくない」
本気で答える気なんてなかった。カナコとの出逢いは、タケルに話しただけで十分だ。
そう言いながら、僕はカナコにメールを送るべく携帯を開いてメールを打つ。