抱きしめたカナコは、声を押し殺しながらも泣く。
保護欲を駆り立てるもので、僕はただただカナコの頭を優しく撫でる。
そうすれば僕に縋り付いてくるカナコ。
やばい…めちゃくちゃ可愛い…。
「…そう言えばシノブ君……あの人、誰?」
「あの人?」
「あの女の人…。シノブ君の事好きだって言ってた…」
ドキリとした…。
別に疚しい気持ちでもある訳じゃないけど、告白されたという事もあって僕は何だが後ろめたいものを感じる…。
「…ぅん。言われた…」
「気になった? 私と別れて付き合っちゃおう! …って、思った?」
悲しげにこちらを見上げるカナコの表情は、僕を誘っているとしか言いようがない…よな?
誘われるように、カナコの唇に自分のそれと重ねる。
「ねぇ…んぅッ…!!」
柔らかいカナコの抗議する唇を塞ぐと、僕の腕の中で少し暴れるけど全然気にしない。このまま、公衆の面前でキスシーンを晒すのはちょっと恥ずかしいけど、これも気にしない。