慌てて、さっき言った言葉を撤回している木庄さんだけど、口にしてしまった言葉は、取り消す事なんて出来るはずもなくて、僕はただただ彼女を見つめていていた。





「…木庄さん…」










「っき、聞かないわ! わかってるから…坂上君の気持ち…」






潤んでいた瞳は、どんどん目の端に溜まっているのがわかる。これ以上、放っておいても声をかけても涙が零れる事はわかっている事で…。




何も言えずに僕は、自分の中途半端な気持ちに、また苛立ちが込み上げてくる。















「ご、ごめんね? 迷惑だったね…っ!」




そう言った瞬間、木庄さんの両手に抱えていた書類が、バサバサッ!! と、音を立てて床に散らばった。




今までの条件反射的に床にしゃがみこんで、書類をかき集める。




「ご、ごめんなさい!!」