ギュウ…と、書類を握り締めて何度も呼吸をしている木庄さんは、一度目を閉じたかと思うと、開いて口を開いた。







「ぁあのね、坂上君! …私、好きなの…坂上君の事!」









切羽詰った木庄さんの顔。おまけで言えば、真っ赤になった頬と潤んだ瞳。


一瞬だけ、見惚れてしまった事をここで、白状してしまう。


だって、カナコの事もあったから僕の心の中は一瞬だけ、木庄さんにグラリと傾いてしまった。





「……木庄さん…」









「ご、ごめんなさい!! 坂上君、彼女いるのに…。わ、忘れて! ね? 忘れてよ!!」