「お決まりでしょうかご主人様?」
「シャナちゃ~ん。今度、写真会出でるの?」
…早く、注文言えっつーの!!
そう思いながらも、笑顔だけは忘れずに…注文を早く聞かないと…。
「今度のは残念ですが、不参加なんです…」
眉を八の字にして、私はお客さんに謝罪する。
残念そうな顔をして、俯いてメニューを見下ろしている…けれど、さっさと注文を言え!!
「あ、の…」
「ぁあ! すみません…。『萌☆スペシャル・コーヒー』を一つ。お願いします」
ネーミングセンスがなさすぎだよね。
もっと、凝った名前にすればいいのに…。
笑いながら、そんな事を思った。
どこか中途半端な自分。
アニメ、漫画と小説が好きで、メイド喫茶で働く事にも抵抗はない。
けど、メイド喫茶に来るお客さんに対しては、どうにか抵抗がある。
矛盾してる。
好きな事を好きな人に言えないなんて…。
一番最低だよ………。