「聞いてる……、慎?」


そんな声すら無視して慎はあっという間に翼が洗うはずだった食器を片付けてしまった


どうしたのかな…と慎を見つめるといきなり抱き上げられた



そして向かうのはバスルーム


ストン、と脱衣場で下ろされて困惑すると慎が素敵な笑顔で「一緒に入ろうか」なんて言い出した



「…やだ…!」


蘇る記憶に翼は首をふる


それもそのはず、前に軽井沢のホテルで一緒に入ったときに


慎は翼の身体を気遣い最後まではやらなかったが、逆上せるほど求められたのだ


翼にとってはただの嫌な思い出だ


「翼、今日は何にもしないよ」


「うそ…慎するもん…」



そう答えられて苦笑いをするしかない慎


しかし本当に何をする気もなく、ただ一緒にいたいだけなのだ


もちろん男としては辛いが、今日1日動きづめだった翼は本人は気づいてないだろうが相当疲れている