来月はあたしの誕生日だ。
春を過ぎて夏を目の前にした
五月下旬の中途半端な季節。
気温や天気に振り回される
あたしの気分を、彼は簡単に
最高の気分にしてしまう。
「 菜緒さん、放課後来ますよね? 」
「 なんだか毎日行ってる気が・・・
大丈夫ですか? 」
「 全然大丈夫ですよ。
菜緒さんと居ると楽しいし
来てほしいです 」
こんな会話を繰り返しながら
あたしは毎日のように喫茶店へ
足を運んでいた。
”来ますか?”と聞くのは
たまに行かない日があるからだ。
図書館で本に夢中になっていた、と
彼に言えば”俺もよくあります”と
苦笑されて、その後に決まったように
”明日は来てくださいね”と言われる。
彼はどうしようもない天然だと思う。