「 珈琲が苦くて大嫌いで、
匂いも好きじゃないって
言ってたのにどうしてソレ
飲んでるのかな? 」
あたしの目の前に置かれた
コーヒーカップを指差して
”どうして?”と首を傾げる
紗希に、あたしも一緒になって
首を傾げれば、紗希は吹き出した。
「 その彼が好きだから、でしょ?
匂いすら嫌だって言ってたのに
味は好きになれないんだろうけど
匂いは好きになれてるんじゃないの? 」
言われて初めてあたしは何で
珈琲を頼んだんだろう、と
珈琲を眺めているけど、確かに
飲んだのは一口とちょっと。
苦い珈琲は好きじゃない。
むしろ、嫌い。
「 ・・・・そうなのかな? 」
「 きっとそうだよ 」