「 ・・・紗希 」 「 ん? 」 「 紗希は、恋してるの? 」 話を逸らして、好きな人について 話す紗希を見ながら、あたしは 手をぎゅっ、と強く握っていた。 あの時、あたしを”可愛い”と 言った彼も同じ気持ちだったら。 彼が本当に天然で、今のあたしのように 思ったことがそのまま口にでたなら。 心臓がうるさい。 ここに、彼は居ないのに。 「 ・・・・・・よ 」 「 え?なに? 」 「 だめだよ・・・・ 」