本に夢中、というか
彼に夢中でバイブ音に
全く気付かなかった。





電話じゃないからいいか、
なんて思いながら本を閉じて
携帯を手にとる。





『 明日、授業ないんですか? 』





絵文字のない彼のメールは
よく分からないことが多い。
本当は怒ってるのかもしれないし
だけど彼らしく笑ってるかもしれない。





表情を伺えないメールのやり取りは
新鮮で、楽しかった。





『 はい、ありません! 』





あたしも絵文字を使う習慣はなくて、
女らしくない文章になってしまうけど
早く返事がしたい、その一心で
送信ボタンを押した。