「 あ、楓くん・・・週末って
大丈夫・・・ですか? 」
「 はい、大丈夫です! 」
なんだか、忘れられていたら
どうしよう、とか余計なことが
一瞬過ぎって言葉を曇らせると
彼がそれを吹き飛ばすように笑って
”何時にします?”とスムーズに
週末の予定は決まった。
「 じゃあ日曜の10時に駅前で 」
「 映画なんて久々だから
すごく楽しみです 」
楓くんと一緒なら、もっともっと
楽しみ・・・なんて言えるわけもなく
映画化された本の内容をお互い
話していた。
「 菜緒さんとだから
すごい楽しみです 」
「 え? 」
「 こんなに話が合う人は
初めてなんですよ 」
気付けば外は薄暗くなっていて、
”あたしもです”と言えば彼は優しく
微笑んだ。