─────────カラン・・・
「 あ、菜緒さん 」
静かな店内に鳴り響いた
ドアベルの音に彼が振り向き
あたしに笑いかける。
同じようにして返しながら
すっかり特等席になったその席へと
腰を下ろして特別メニューを待っていると
彼が小さく笑いを零した。
「 菜緒さん、目が”早く”って
言ってますよ 」
「 えっ・・・! 」
「 可愛いですね 」
”子どもみたいです”とからかう彼に
少しむっとしながらも、熱い顔を両手で
ぱたぱたと仰いでいた。
この天然王子はどこまであたしを
惚れさせるつもりなんだろう。
”可愛い”なんて、誰が言われたって
嬉しい言葉をそんな笑顔で言われると
・・・・・・・頬が緩む。