”断られたらどうしよう”
昨日の夜、そんな不安ばかりで
あまり眠れなかったのに、
彼はキラキラした目であたしを見ていた。
「 ・・・へ?あ・・・うん 」
「 俺も菜緒さん誘おうと思ってたんですよ 」
「 本当? 」
「 本当ですよ 」
にこっ、と眩しすぎるくらいの
笑顔を向けられて顔が熱くなるのを感じた。
彼は無意識に女の子を喜ばせるのが得意らしい。
こうして彼の一言一言にドキドキして
その度に”好きだな”と思う自分がいる。
そんなことも知らないで楽しそうに
映画の話をする彼はなんて人なんだろう。
「 楓くんって、天然・・ですよね 」
もうすぐ大学に着くというところで
彼の言葉を遮りあたしはそう呟いていた。