「 あ、菜緒さん! 」


「 ・・・楓くん? 」





いつもより一本早い電車に
乗ったのに、いつもの場所に
楓くんがいた。





「 今日は早いんですね? 」


「 ・・・楓くんこそ、早いんですね? 」


「 待っていようと思って 」





”誰を?”と首を傾げれば
クスッ、と笑った彼が優しく
頭を撫でてきて、





「 泣きそうな顔してたから、
  心配してたんですよ、菜緒さんを 」





”大丈夫ですか?”と
優しく微笑みながらあたしを
見下ろす彼に、もう心臓は
壊れる寸前だった。