「自分で言ったくせに」
 
不思議と、落ち着いていた。

「あれはこじつけ。君はキョウであって京じゃない」
 
何も変わらない。変えられない。
突然の再会に胸が高鳴ることも鼓動が速まることもない。
むしろこんなにあっさりとしていていいのかと自分に聞きたくなる。
 
彼は立ち上がらなかった。私も隣に座ろうとはしなかった。

「でも」
 
イエロー・サブマリンが終わる。

「那由多は京より大きい」
 
次のイントロが始まる。

「とてつもなく」
 
ビートルズ、ラブ・ミー・ドゥ。