ナユタの部屋に最後に入ったのはいつだっただろう。
それぐらい、記憶は曖昧だった。
 
生活に必要なものは簡素なものが最低限あるだけなのに、なくても生きていけるものは大量にある部屋。
そのどれもが適当に積まれたり置かれているようで、それなりにこだわって飾られている部屋。
 

初めて来たときのことは覚えている。
デザイン会社で働いているのは聞いていた。だからやっぱり月並みだけどおしゃれな気取ったような部屋なんじゃないかと思った。

それに対して現実はこれ。
ギャップは激しい方がいいとか言うけれど、さすがにこれはどうなのと思った。

そもそもギャップっていうのは、汚いんだろうなと予想していたのに整理整頓されていたとかいうときに初めてプラスに動くものだ。
デザイナーらしい部屋をイメージしていたところに、芸術家の部屋が出てきたら、ただ驚くしかない。