だけど、そんなことどうでもいい。
 
私は今、目の前に突き付けられた事実にショックを受けないことに、ショックを受けているのだ。
 

年相応に、色んな経験はしてきたと思う。
恋人の浮気を疑って問い詰めたことも、浮気現場に鉢合わせして迷わずご自慢の股間を蹴りあげたこともある。
勘違いが勘違いを呼んでひとり部屋で泣いたことも、嘯かれたことを後悔したこともある。

それらは幼いからだったかもしれないが、かといって現状、それらに寛大になれるほど、悟りを開いたわけでもない。
 

それなのに今の私には隣の女が誰かという疑問も、ナユタに対する怒りも湧き上がってこない。
それどころか、ほらやっぱり、という気持ちが生まれてくる。

何度も感じたはずでしょう、ふたりの関係って幸せなのかしら。