パンッ



大きなピストルの音が響きわたると
一斉に走り出す。



その中に
1人だけ大きな人口密度から外れた
男の子がいた。


後から走ってきた人が
追い上げようとすると
彼は走るスピードをさらに上げて
ダントツのトップで
ゴールした。



走り終えたあと
彼の周りにはたくさんの人が
一瞬にして集まり
お互いに喜びあっていた。
遠目でもわかるくらい
キラキラ輝いていた。



私はいつからか彼の走る姿に
強く惹かれて
休憩時間を使って
窓から眺めていた。




その彼が
同じ学年で陸上部の
奥村くんです。


クラスは違うけど
たまに廊下ですれ違ったり
女子情報なんかで
よく聞くくらい有名人だから
自然と耳に入る。




私も最初
こんなことやっちゃ
危ない人だって思ってたんだけど
芽生ちゃんが
「大丈夫だって」って
言ってくれたのが
今現在までであって…