自転車をとめたところで
手が離れると
鼓動が少しずつ
緩やかになっていった。


あ!そうだ…


「あのお金…
ちゃんと返すから」


私はお財布を手に持って
お金を出そうとした。


「いいって!
今日一緒に鍵探してくれたお礼。
それに
お金がどーだとかこーだとか
あんまり気にしないから」


奥村くんは
また無邪気な笑顔を見せた。


その笑顔を見て
私の胸はキューっと
締めつけられた。


「あ、ありがとう…」


優しいんだなあ…

奥村くんの優しさに
尊敬と感謝の気持ちを
感じた。



…あれ?
う、動けない…
なんで?