「よかった」
奥村くんは笑った。
「俺、押水に
すっげー嫌われてるな
って思ってて…
そっか、そうだったんだ…」
そう言いながら
エスプレッソを飲んでいた。
「ごちそさまっ!
押水、飲み終わった?」
「うん」
「よっしゃ!
じゃあ行くか!!」
奥村くんはレシートを持って
レジの方へ向かった。
私も追いかけた。
「お会計750円です」
定員さんがニコッと
微笑んだ。
私はバックから
お財布を出そうとすると、
奥村くんが出してしまった。
「1050円お預かりします。
200円のお返しです。
ありがとうございました。
またお越しくださいませ!」
「…」
唖然としてつったっている
私の手をつかんで
奥村くんはズンズンと
歩いていく。
大きな手からは
暖かい温度が伝わってくる。
ドキッ ドキッ
鼓動が早くなって
なにがなんだかわからなくなって
しまった。