「あ…ごめん。
先言って?」


私は慌てて譲る。


「後でいい。
すっげーくだらないから」


「ごめん、ありがとう。
その…"さん"付けが
かたくるしいなって思ってて。
もしよかったら苗字呼び捨てで
全然構わないから…」


奥村くんはびっくりした顔で
私を見た。


「…実は
俺もそう言おうって思ってた」


私もびっくりした。



「ゴホンッ
…それじゃあ押水。
奥村"くん"付けもやめない?」

「へっ」