「武志ん家あの近くで。
いつもランニングしてんだって。
それで、あの公園を
通りかかったとき、
ちょうど押水が真聖を抱き締めてた
ところ、見かけたって。
声を掛けようかなって思ってたけど、
きっと押水は自分のこと
知らないだろうから、
いきなり声を掛けたら
逃げられるんじゃないかって。
だから
申し訳ないなって言ってた」
奥村くん…いたんだ。
私、奥村くんのこと
知ってる。
気を使ってくれたんだ…
「つばさ…」
芽生ちゃんは何とも言えない顔をして
私の名前を呼んだ。
「気づかなかった…」
なぜか震える声で
正直に話した私。
「ってか、なんでそんな深刻
な顔するんだよ。
まさか、お前ら
武志になんかやらかしたか~?」
「バカいってんじゃないの!」
「冗談だよ冗談。
あー、でも武志は…」
「あ!2人とも!
このプリント提出するんだって!」
「ウソ~
つばさ、ちょっと教えてよ!」
私は川上くんの言葉を遮り
課題のプリントに
手をつけた。