芽生ちゃんがやってきて
川上くんを見落としている。
「川上、寝てんじゃん」
ケラケラと笑い出す芽生ちゃん。
「うん…さっきから起こしては
いるんだけど…」
ちょっと可哀想かも。
自分がやられたら
嫌だし。
「やっぱ、つばさの声は
天使のささやきにしか聞こえないよ。
だから…」
「…だから?」
芽生ちゃんは川上くんの耳元で
大きく息を吸って
耳に吹き込んだ。
これには川上くんも反応して
芽生ちゃんを睨んだ。
「おいー水嶋…
俺朝早ぇんだぞ~
朝練は疲れるし」
「んなの知らないっ
さっ、きのうあったこと全部
話しなさい!」
芽生ちゃんが怒ると、
川上くんはため息をして
はいはいと言った。
「んじゃあ
しょうがねえから話してやるよ」
頭を掻きながら
背筋を伸ばす川上くん。
なんだか
すごく緊張した。