それからシオリと少し話して、『また明日ねー』って言って別れた。そしてあたしは家に帰って、『もうすぐ3年生で受験だから、塾の日数が増えた』と嘘を付いて、マヤさんの家に向かった。マヤさんの家に付いて、2階に上がって、いつも通り玄関で『惠です。上がります』って声をかけたら、マヤさんが出てきて『もう、一々名前言わなくていーよ。ただいまぁって、入ってきな』言ってくれた。《ただいま》かぁ。あたしは自分の家に帰っても、ただいまって言わなくなってた。言っても《おかえり》の言葉もなく無視されるから。 だから、いつからか何も言わないで家に帰って、自分の部屋に入っていた。