大きな国道を車を押しのけて、何十台もの単車が走る。途中タケシはスピードを落として、ギアチェンジして《チューリップ》の歌を聴かせてくれた。『タケシすごーい!そんな事出来ちゃうんだ!』って言ったら、『すげーだろ!』ってタケシは自慢げだった。何時間走ったんだろ。もう真夜中だった。もう家に帰っても、カギが掛かってて入れないだろう。あたしは思いきって『タケシんとこ泊めて!』って言った。『いいけど…』タケシは戸惑いがちに言った。あたしは、もし?今夜タケシに抱かれたら、もうダチじゃなくなる。ダチを無くすかもって思うと少し寂しかったけど、覚悟はできてた。タケシはあたしを乗せたまま単車を自分の家に向かって走らせた。