その日はお母さんが朝からどこかに出掛ける用意をしていたから。あたしは父の分のお弁当も作ってから、学校に遅刻して行った。そして授業が終わり家に帰ってきて、父に作ったお弁当の中を見た。ちゃんと完食してくれていたから、嬉しかった。父は目が見えないのにお箸の使い方もあたしより上手いし、家の中の事はほとんど把握しているから凄いと思ってた。そして夕方になってもお母さんは帰って来なかった。最近のお母さんは出掛けるとどんどん帰りが遅くなっていた。だから今日もあたしが家事当番。晩ご飯の用意をしていたら、電話がかかってきた。お母さんかもって、電話にでたら相手はリョウくんだった。いつもより早い時間の電話。それにいつもは2階から電話に出るけど、1階から出たから、あんまり声を出すと父に聞こえるから『ちょっと待ってて』って2階の電話に代わった。