どれくらいそのままだったのか。『惠』リョウくんの声で気が付いた。あたしはうずくまったままでまた気を失ってたみたいで。もう夕方になっていた。リョウくんは『もう送るよ』って言って、あたしも服装を直し無言で後をついて行き、原付の後ろに乗ったそしてリョウくんを後ろから抱き締めて『ごめんね』って泣いた。そしたらリョウくんはあたしの回した腕を軽くポンポンって子供をあやすかのように叩いてくれた。そして原付は走り出して、駅についた。まだ泣いてるあたしに『もう 泣くなっ』って頭を撫でてくれた。何も聞かないで頭を撫でてくれる、リョウくんのその優しさにまた泣いてしまった。しばらくして泣き止むと『また日曜日な』って言ってくれてあたしは改札を抜けた。改札から後ろを振り向くと、リョウくんが笑って手を振って見送ってくれてた。あたしもリョウくんに手を振った。まさかこれがリョウくんに逢う最後の日になるなんて知らずに…。