撫子寮へようこそ。4_乙女の禁則事項。

「秋山瑞穂」
二階の個人部屋へ上がる途中で、理子さんが突然声をあげた。
「……はい?」
「十七歳。実家はこの学園から電車で四時間の位置にあり、両親は健在。兄一人。両親の両親、あなたからすれば祖父、祖母にあたる人物。全員健在。従姉妹は四人。一学年時のクラスでの平均順位は四十五人中三十二位。身長、百五十七.八。体重、スリーサイズは……「うわああああ!!!」」
途中まではボンヤリ聞いていた私だったが、さすがに乙女の禁則事項を発そうとしたところでストップをかける。
「理子さん……?」
部屋の一室の前で、理子さんが立ち止まり、こちらを振り返った。
「私が、なぜこの寮にいるか……わかりますか?」
聞かれてみて、私はあれと思う。
彼女は見た目は普通なのだ。どこにも奇人変人の要素なんて……。
要素なんて……。
「私、知っている人間のすべてを知りたがる【詮索癖】があるんです」
「せんさく、ぐせ……?」