驚愕の始まり。2_全力疾走私。

私はなんで、こんなに底の高いパンプスを履いて疾走してるんだろう。
っていうかマジでありえない。
なんで! なんで!!
カバンをひったくられてんだっ!!
しかもひったくり犯を私は追いかけてるんだ!!
あのカバンは、私のじゃないのに……!!
時間は約二分前に戻る。
友達の涼子と、綺麗な桜を見て、満足して、さあ気をつけて帰ろうと思った矢先に、彼女のカバンをひったくられた。
病気がちでおっとりしたお嬢様系の涼子様は、あらあらと言いながらひったくり犯を何もせずにただ、見ていたのよ。なんでそうなる!!? なんちゅうお嬢様クオリティよ!
まぁ、そんなわけで? 数学2、体育4の私が走って追いかけることになりました。
「待てぇぇ! このひったくりー!!」
ひったくり犯が、まだ追ってきてるのかと言った感じで舌打ちをした。
舌打ちしたいのは私のほうだっつの!
「誰か捕まえてーー!! そいつひったくりーーー!!!」
大声で叫びながらパンプス履いて疾走する女。
たとえひったくりを追ってる最中だとしても、かなり頭がおかしそうに見える。
最悪だ。
ここは都会。他人に興味ない。誰もとめない。
やっぱり最悪だ。
なーんて考えてると、ひったくり犯が突然すっころんだ。
ラッキー♪♪ とか言ってる場合じゃない。
涼子のバッグ!!
ひったくり犯を踏みつけて、バッグを拾おうとした私。
それより先に誰かの手がバッグを拾い上げた。
「……だ、だれ……?」