撫子寮へようこそ。_清純系は嘘ですか?

「さ、ここが瑞穂ちゃんの部屋です」
そう言って、理子さんが扉を開いた。
「わ……」
結構綺麗な部屋。ベッドと机しかないけど……。
「一応掃除機はかけときましから」
「ありがとうございます。思ってたより綺麗な部屋で安心しました♪」
「そう? まあ、ちょっとネズミがねー……」

は?

あごに手を当ててつぶやかれた言葉。
「ねず、み……?」
「あら。私、口に出してました?」
バッチリです。
「まあ、良いじゃない」
よくありましぇん……。
「サツキが前にこの部屋だったのだけど、お菓子を溜め込んでたら……」
そこまで言うと、理子さんは言葉を切り、クックと笑った。
「まあ、良いじゃない」
「何がっ!? もう、チェンジです! チェンジっ!!」
半ばヤケクソに叫ぶ私。
叫びたくなる気持ちがわかってもらえると……いいな。
「そんなキャバクラみたいなこと言って~」
あはは、と軽く笑う清純系文学少女。
はっきりキャバクラとか言うんですね……。

後に考えれば、これは不幸のおまけみたいなモンであった……と思う。
でもネズミはなぁ……。