私は、何がなんだかわからなかった。 時間が刻々と過ぎて、直哉がサキさんをなだめてるのを見ているだけ――――― あれから、何があったかなんて―――覚えてない。 ――…ただ、覚えているのは彼がサキさんをなだめる姿と…… 彼女が帰り際に私の耳元で言った一言だった。