「ね…も少しこのままでいい?」

「ん。」

甘える事すらも初めてな私は
那月の香りに酔いしれていた。
微妙に香る、汗のにおい。
いつも以上に、抱きしめた。
応えるように
だんだんと強さを増す腕は
存在を確かめているようであった。

「…乃愛たちどうなっただろう。」

「あ。」

何も連絡なしで出てきちゃったから、
心配してるかも…。

急いで那月がメールする。
…実は私まだケータイ持ってない。
はやく持たせてよ。お母さん。

〈今どこ?〉

ホント最小限だな。