「貸して。」

チャラと留め具の所を掴み、
箱をポケットにしまう。

「付けるよ。」

両腕が、回される。
近すぎるこの距離は、
心臓を跳ね上げた。

吐息が耳にかかる。
どれくらい時間がかかっただろう。
少ししかたっていないはずなのに、
早すぎる鼓動のせいで、
永遠のように感じた。

「終わった?」

「ん。」

「近いんだけど…。」

「……」

「ね…?」

「あの時の続きしてもいい?」