「作田っ、お前ちゃんと仕事しろってあんだけ言ったのにまだわからないのか?」
『ごめんよ、でも日比谷さん芸能人だし、それなりに信用あるし、もし教えなかったら鎖骨折るとか言うから・・・っ」
「鎖骨折っても小指なくしても秘密は守りとおせよ」
『すいません・・・』
「奏・・、それくらいにしときなよ。作田さんだって困るよ?日比谷さん、このとおりいい人だしさ・・」
なぜか一緒に夕食を食べることになった葵と、あたしと、日比谷隼人。
テーブルを囲みつつあたしは作田にまず電話。
電話越しの声から作田の怯える様子がダイレクトに伝わってきて気分が悪い!
「正座してるだけじゃん」
「あ、いいんですよ日比谷さん。足崩してもらっても・・・」
「ほんとですか?じゃあ・・」
さっそく胡坐かいてるし。
日比谷、信用ならない。
「ほんとはあたしじゃなくて、葵が目当てなんじゃないの」
「そんなっ、二人がルームシェアしてるなんて今知ったんだよ?最初部屋間違えたのかと思ったんだから」
「ふーん。嘘っぽい」
「奏っ。あたしこの通り何もされてないし大丈夫だよ。ほんとに奏のアドレス知りたかっただけみたいだから」
「どうなんだか」
「ほんとだよっ」
あー胡散臭い。
日比谷の方はあたしがなんでこんなに葵のことに関して神経とがらせてんのか知らないみたいだけど、当たりまえのことだからね。
彼女に何かあったら彼氏は許せないのが普通でしょ。
「それに俺、まだ奏のアドレスもらってないんだけど」
「いきなり呼び捨て?それでも大人ですか」
「言っておくけど俺24だからね?奏より大人だよ。それに奏、芸名奏じゃん。名字知らないし一般国民はみんな奏って呼んでると思うよ」
「奏、たしか馬鹿じゃないよね・・・」
葵まで笑いをこらえる。
冗談じゃない。
こんな部外者にいつもの生活邪魔されたんじゃ。
「わかった、教えるよ。でも教えたら長居しないで帰ってね」