別にセフレならどーぞご自由に・・・バレなきゃお互い幸せでいられるもんね。
だからせめて隠す努力をしてほしいんだよ。
なのにこの部屋で密会することないじゃん。
ご丁寧に鍵までかけて・・(それはあたしが頼んだことだけど)



二人がいるであろう寝室は避けてリビングに向かう。
でも、もしリビングでキスでもしてようものなら、その男の命、ないも同然。



イライラをぶり返しながら電気がつけっぱなしのリビングに入ると、そこには葵と、どっかで見たことのある男が一人、正座していた・・・。



「あ、おかえり奏」



「うわっ、ほんとに一緒に暮らしてるんだね、あの奏と・・・」



「誰」




唖然としてその男を見つめる。
どっかで見た事あるぞ・・・。
絶対に。



「奏、こちら日比谷隼人さんだよ。前に番組かなんかで共演したことあるよね?」



「日比谷・・?」



きょとん、として彼を見つめる。

くりっとした目と高い鼻に薄茶色の髪。
見覚えはあった。



「ごめんなさい日比谷さん、奏、人の名前と顔、覚えるの苦手で・・」


「そうなの?頭よさそうに見えるけど。ほんとに俺のこと覚えてないの?テレビ局のトイレで会ったじゃん」


「トイレ?奏男子トイレ入ったの!?」



「はぁっ!?男子トイレなんか入ってないよっ、こいつが女子トイレに入ってきたから、間違ってますよって教えてあげたのあたしだから!!」



あ、思い出した。
音楽番組で共演したとき、この人がトイレ間違えて入ってきたんだ。

その時はスタッフだと思ったけど、スタジオで顔合わせて、同世代のアーティストだって気づいて・・・。



「やっぱり覚えてた!ね?葵ちゃんっ」



「ですね~。奏、日比谷さん奏のアドレス教えてほしくてここまで来てくれたんだよ」



「なんでここがわかるわけ?」



隠しとおしてきた住所がなんでタレントにバレてるんだよ。
しかも女子トイレ入ってきた変態タレントにさぁー。
女子トイレでしかしゃべったことないし、酔っ払って勢いで言っちゃったってのも考えににくいし・・・。




「あんたのとこのマネージャー、ちょこっと脅したらすぐ教えてくれたよ」











作田ぁ~っ!!